まだまだカジれる!?
おカネに困ったときにやっぱり頼りにしてしまうのは親の財布。みんなどんなふうにスネをカジっているのだろうか?
ニッセイ基礎研究所の首都圏での調査によると、「子どもに金銭的な援助をした」親が41.7%もいる一方で、「子どもから金銭的援助を受けたことがない」親が74.5%。また、住友生命総合研究所の大都市サラリーマンに対する調査では、子どもと同居している世帯が48%いたが、その中でも、子どもが独身の場合は60%弱が家計費を親が負担し、子どもが負担するのは10%弱という数字が出ている。
とあるアンケート調査でも、親が子ども世代に援助をしている姿が浮かび上がっている。子ども側があてにしている中身は「結婚資金」がトップで、「住宅資金」「お小遣い」「子ども(つまり孫)に関する出資」が同列に並ぶ。
結婚資金を親が出すという話はよく聞くが、三和銀行ホームコンサルタントの調査によると、結婚資金は両家の合計で約833万円もかかるというから、とても若い2人だけで負担できる額とは思えない。それに、結婚式は親のためにするという一面もあるので、1人あたり400万円近いお金のうちの何割かは親をあてにすることになるのだろう。
一方、住宅資金のほうはさらに高額なので、多少援助してもらえればと思いたくもなる。親の中にも、「息子夫婦に夫が土地を提供し、建物のローンも半額援助。税金もこちらで負担している。子どもをそばに置くなら、お金は親が負担するもの」(自営・62歳)と住宅資金の援助を当然と考えるケースもある。
税金面でも住宅取得資金の贈与の特例というのがあって、普通は贈与税がかからないのは年間60万円までだが、この特例を使うと300万円までは無税。また、それ以上でも税額が割り引かれて、1000万円の贈与を受けても税額が70万円と通常の4分の1ですむという援助しやすいシステムになっている。
親の金からの自立
アメリカでは、小さいときから子どもを一個の人格として認め、早くから自立させる風潮がある。したがってある程度の年齢に達したら独立して別居するのがあたりまえ。しかも、結婚して孫の子守を頼むとしたら、いくら親といえどもベビーシッター代を請求することもあるドライな社会である。
だから、日本人のように「結婚資金や住宅資金を親が出す」なんていうことは考えられない。いつまでも頼りにできる親がいる日本は子どもにとってなんともラクな社会といえそうだ。
しかし、若者全部が親に依存しているわけではない。とあるアンケート調査でも60%以上が親の金をあてにしないで自立して生きていこうと考えている。アンケート調査の発言を分析すると、どうも子どもには3つのタイプがあるようで、それぞれ親への思いまでハッキリと違う傾向がある。
●経済的かつ精神的にも自立している孝行型
親の家計に協力したい気持ちを持っていて、親の金はあてにせず、将来、親の健康に問題が生じたときは同居を考えている。至極まっとうで理想的な親孝行タイプ。
●親のスネにかぶりついて離さない依存型
親の家計に協力する気はないが、金はいろいろとあてにしている。将来の同居は考えておらず、ほぼ「スネかじり」の王道。甘え上手なので親についつい利用されてしまう。
●親といえども他人、クールでドライな孤立型
親の金をあてにしない代わりに、家計の援助もする気はない。将来の同居もできれば避けたいと考えている。経済的な自立とわずわらしさからの逃避が混同したアダルト・チルドレン。